「鍼灸師になってどんな仕事をしたい?」と訊いて、殆ど学生で答えることが出来る人間は少ない。
言い換えると、いろいろな治療法や健康法が氾濫している今、1stチョイスで鍼灸師として何を求められているのか、と考えている学生が少ない。 多分、半分近くは、「医療系の仕事の中で、と自分にも何となくなれそう(食べていけそう)な気がして」だと思う。 動機としては僕はそれでもかまわないと思う。 ぐだぐだ理屈を言われるよりも余程好きだ。 動機や看板より鍼灸資格を取ってからの結果が、その人間の鍼灸師としての価値だからだ。 だから勉強が出来なくなくても、将来を思い浮かべることが出来なくても、この仕事をしたいのかどうかが一番重要。 この仕事を志した地点が、学生なのか、社会人なのか、学費を悩まなくてもいいのか、他の仕事を兼業しているのか。 治療を求めて来院していただく方々にはそんなことは何も関係はない。 見せかけのやる気や自分自慢より、施術する相手への誠意と努力があってこそ、施術本人に価値がすこしずつ付加されていくのだと思う。 ただ、僕自身は治療院を続けていくのがやっとの状態なので、ウチに教わりに来ても鍼灸師の都合のいい儲かり方は教えられません。 #
by tairaacp
| 2017-10-09 14:06
| 鍼灸師の仕事
鍼灸師である以上、「ツボ」というものと向き合わざる負えない。
正直、ツボの名前をよく忘れてしまう。 多分ツボ好きの患者のほうがよっぽど書籍を読んでいて、ツボの名前や効能を知っていて困る。 普段の施術ではまず患者さんの姿を俯瞰してから、施術している筋肉の状態や骨の捻じれや向きを意識して施術の手順を考える。 僕は揉みほぐす時間が増えると手の感覚が鈍くなるので、患者さんの体調を診るときは脈診よりも舌診のほうが多い。 ある程度見当をつけながら施術をしていくと、結果的にはツボの位置が治療すべきポイントになることが多い。 上腕部、肩甲骨周り、背部、骨盤周囲、足首などのツボは利用頻度が高い。 また、離れた箇所へ痛みを誘発させる「トリガーポイント」と言われる箇所も治療箇所として有効で、ストレッチとセットで使うことで効果がより上がる。 最近になって、単語だけでなく 昔やっていた施術が 急に使わなければいけないときに限って思い出せなくなってきた。 おかげで治療院の机の上には手技療法DVDや教則本が趣味の本と共に高く積まれることになり、まるで開院当時したばかりと変わらない状況が復活している。 こんな状態で時折他人を教えているのは少し恥ずかしいが、教えたい内容を予習する時間と気持ちの余裕がないのが今の悩みだ。 #
by tairaacp
| 2017-09-26 00:01
| 鍼灸師の仕事
僕が選んだのは柔整師よりも鍼灸師の仕事だった。
学費を出してくれた父親からは「柔整師のほうが保険使えるぞ」と言われたけれど、どういう意味かよくわからなかった。 ただ、門外漢だった僕にとって、骨折や脱臼の患者を診るよりも、体全体の治療のほうが魅力があった。 リラクゼーションや整体の手技だけでは治療は当然出来ない。 手技+「奥の手」としての鍼灸を使えるおかげで、僕は50歳を超えてもこの仕事が続けていけるし、先生と呼ばれている。 ”カリスマ”でもないオッサン先生のところへ施術に来ていただけるのは本当に有難いけれど、それは「鍼灸院」だからだ。 資格を取るための国家試験は柔整師のほうが難しい。 しかし、昔程ではないが、やはり柔整師のほうが鍼灸師よりも需要と収入は高い。 「治療院」よりも「整骨院」のほうが利用者にとって各険適用による費用控除を利用して通院出来るのは魅力だし、施術者本人が診断書を書くことも出来る。 一日一万以上稼げる最低限の施術スタッフを育てるにしても、一人前の鍼灸師を育てるより施術補助程度の柔整師を育てるほうが楽。 仮に整骨院に勤めなくても、デイサービスなどへの介護施設へも雇用されやすい。 鍼灸師が一人で食べていけるには、一日中1時間近くの施術を繰り返し出来るだけの体力と技術が必要。 それから患者さんがまるで来ない時が続いても不安にならないこと。 開院して十年以上経っても、連休なんて休み明けから開店休業になりそうで、怖くてなかなか取れない。 僕はほぼ同じ内容の日々を 健康で他に何も問題が無ければ 年間約340日程度繰り返している。 治療院を始めた頃、タオルと鍼灸道具があれば何処でも仕事が出来る、と思っていた。 今は、訪れて頂く人達にとってより必要とされる仕事を積み重ねていきたい、と思う。 #
by tairaacp
| 2017-09-20 17:00
| 鍼灸師の仕事
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大阪市 たいら鍼灸治療院
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