カテゴリ:鍼灸師の仕事( 13 )
鍼灸師の仕事 何をしたい?
 「鍼灸師になってどんな仕事をしたい?」と訊いて、殆ど学生で答えることが出来る人間は少ない。
 言い換えると、いろいろな治療法や健康法が氾濫している今、1stチョイスで鍼灸師として何を求められているのか、と考えている学生が少ない。
 多分、半分近くは、「医療系の仕事の中で、と自分にも何となくなれそう(食べていけそう)な気がして」だと思う。
 動機としては僕はそれでもかまわないと思う。
 ぐだぐだ理屈を言われるよりも余程好きだ。
 動機や看板より鍼灸資格を取ってからの結果が、その人間の鍼灸師としての価値だからだ。
 だから勉強が出来なくなくても、将来を思い浮かべることが出来なくても、この仕事をしたいのかどうかが一番重要。
 この仕事を志した地点が、学生なのか、社会人なのか、学費を悩まなくてもいいのか、他の仕事を兼業しているのか。
 治療を求めて来院していただく方々にはそんなことは何も関係はない。
 見せかけのやる気や自分自慢より、施術する相手への誠意と努力があってこそ、施術本人に価値がすこしずつ付加されていくのだと思う。
 
 ただ、僕自身は治療院を続けていくのがやっとの状態なので、ウチに教わりに来ても鍼灸師の都合のいい儲かり方は教えられません。



    

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by tairaacp | 2017-10-09 14:06 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事 ツボ
 鍼灸師である以上、「ツボ」というものと向き合わざる負えない。
 正直、ツボの名前をよく忘れてしまう。
 多分ツボ好きの患者のほうがよっぽど書籍を読んでいて、ツボの名前や効能を知っていて困る。

 普段の施術ではまず患者さんの姿を俯瞰してから、施術している筋肉の状態や骨の捻じれや向きを意識して施術の手順を考える。
 僕は揉みほぐす時間が増えると手の感覚が鈍くなるので、患者さんの体調を診るときは脈診よりも舌診のほうが多い。
 ある程度見当をつけながら施術をしていくと、結果的にはツボの位置が治療すべきポイントになることが多い。
 上腕部、肩甲骨周り、背部、骨盤周囲、足首などのツボは利用頻度が高い。
 また、離れた箇所へ痛みを誘発させる「トリガーポイント」と言われる箇所も治療箇所として有効で、ストレッチとセットで使うことで効果がより上がる。

 最近になって、単語だけでなく 昔やっていた施術が 急に使わなければいけないときに限って思い出せなくなってきた。
 おかげで治療院の机の上には手技療法DVDや教則本が趣味の本と共に高く積まれることになり、まるで開院当時したばかりと変わらない状況が復活している。
 こんな状態で時折他人を教えているのは少し恥ずかしいが、教えたい内容を予習する時間と気持ちの余裕がないのが今の悩みだ。



 


  

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by tairaacp | 2017-09-26 00:01 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事 柔整師との格差
  僕が選んだのは柔整師よりも鍼灸師の仕事だった。
 学費を出してくれた父親からは「柔整師のほうが保険使えるぞ」と言われたけれど、どういう意味かよくわからなかった。
 ただ、門外漢だった僕にとって、骨折や脱臼の患者を診るよりも、体全体の治療のほうが魅力があった。
 リラクゼーションや整体の手技だけでは治療は当然出来ない。
 手技+「奥の手」としての鍼灸を使えるおかげで、僕は50歳を超えてもこの仕事が続けていけるし、先生と呼ばれている。
 ”カリスマ”でもないオッサン先生のところへ施術に来ていただけるのは本当に有難いけれど、それは「鍼灸院」だからだ。

 資格を取るための国家試験は柔整師のほうが難しい。
 しかし、昔程ではないが、やはり柔整師のほうが鍼灸師よりも需要と収入は高い。
 「治療院」よりも「整骨院」のほうが利用者にとって各険適用による費用控除を利用して通院出来るのは魅力だし、施術者本人が診断書を書くことも出来る。
 一日一万以上稼げる最低限の施術スタッフを育てるにしても、一人前の鍼灸師を育てるより施術補助程度の柔整師を育てるほうが楽。
 仮に整骨院に勤めなくても、デイサービスなどへの介護施設へも雇用されやすい。

 鍼灸師が一人で食べていけるには、一日中1時間近くの施術を繰り返し出来るだけの体力と技術が必要。
 それから患者さんがまるで来ない時が続いても不安にならないこと。
 開院して十年以上経っても、連休なんて休み明けから開店休業になりそうで、怖くてなかなか取れない。
 僕はほぼ同じ内容の日々を 健康で他に何も問題が無ければ 年間約340日程度繰り返している。

 治療院を始めた頃、タオルと鍼灸道具があれば何処でも仕事が出来る、と思っていた。
 今は、訪れて頂く人達にとってより必要とされる仕事を積み重ねていきたい、と思う。


  

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by tairaacp | 2017-09-20 17:00 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事 鍼灸師の手
 治療院やリラクゼーションサロンに客として行くとき、施術側の人に僕の手をしげしげと見られると、「バレたか!」みたいな感じになる。
 仕事のせいで指が変形しているし、爪にヒビが入りやすいので両親指に透明のマニキュアをしている。
 そんな指の職業なんてあまりない。
 
 最近困っているのは両親指の指紋がだんだんすり減ってしまって、小さなくて薄い紙などがなかなか掴めないこと。
 患者さんにはったままの湿布や皮内鍼のシールを剥がすのが目茶苦茶苦手だ。
 
 鍼灸師とは言っても、僕の場合は揉みほぐしが多いから、だんだん手が潰れていく。
 でも、仕事の側から言うと「使いやすい手」に成長したとも言える。
 今一人だけ教えている子も、最初から変な指の使い方を覚えてしまわないように気を遣う。
 でも、何れ彼が本格的に仕事を続けるようになったら、それからの彼の「手」は彼自身が作ってくれたらいい。 
 僕にとって、今の僕の手は不器用で格好悪いけれど、本当に感謝している。

      

   

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by tairaacp | 2017-09-14 15:00 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事 資格の有無
 リラクゼーションサロンで勤めていた時は無資格だったが、整骨院で仕事を手伝わせて貰えるようになったのは資格を取ってから。
 資格を取ってからのほうが教えられた施術を自分なりに理解出来たけれど、意味のないと思えるようなことを、先輩からバケツリレーのように機械的に覚えさせられるのは苦痛だった。

 資格がなくてもリラクゼーションサロンでの仕事は出来ないこともない。
 リラクゼーションサロンは治療院ではない。
 「マッサージ」という名称を使用せず、代わりに「リラクゼーション」に置き換えておけば、ほとんどの場合(周りの同業者や治療院から)訴えられることはない。
 施術料金が安ければ無資格の外国人が体を揉んでくれても体が楽になるのであれば別にかまわない、という人達だけでも十分需要がある(と思っているらしい)。
 
 柔整の資格は各種保険適用内での施術が実質抑えられているし、ひとつの活用策としての社会福祉や介護への資格利用もそれ程広がっていない。
 また、首や肩を痛めたり腰痛の初診時、患者さんが近くの治療院や整骨院よりも、整形外科へ足を運ぶ傾向が強まってきている。
 鍼灸師の場合もほぼ同様の状況だ。
 
 仮に仕事を続けながら専門学校に入れば、年間百数十万程度の学費負担だけでなく、授業や勉強に忙殺されて、今まで出来た仕事は半分以下しか出来なくなる。
 全てを金額換算してしまえば、年間200万以上のお金を最低3年間失い続ける感覚になる。
 (奨学金は利用出来るけれど、入学時には最低最初の1年分位の学費や入学金分位は予め用意しておくべき)
 また、鍼灸師か柔整師の資格のどちらかの免許を取得しても、もう片方の免許を取得するためにはまた専門学校に改めて入学しなければならない。
 (免許と重複する基本科目は免除になることがある)

 しかし、未だに「先生」といってもらえる資格を3年で取れるのは最短だし、社会人になってからでも必死で頑張れば人の痛みを癒せる立場になれる。
 これらの免許は一度取得してしまえば今のところ更新制度はないし、公的機関もどきの有料講習制度もない。

 30歳半ば過ぎて独立をしたり、50歳を過ぎても続けていきたいのであれば、鍼灸師や柔整師の国試資格は取っておいたほうが良いと思う。
 20年以上この仕事を続けるのであれば、施術経験だけではなく、これ位の勉強をしておく時間は必要だろう。
 リラクゼーションサロンの仕事はお客さんを気持ちよくさせることだけれど、治療院の仕事は患者さんを治して維持させること。
 どちらが患者さんにより長く必要とされるかといえば、後者が絶対的に有利なのだから。
  

    
 

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by tairaacp | 2017-09-07 17:00 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事の作り方 8
 せっかく自分がお金を掛けて(借りて)作ったので、自分のこだわりたいものにはこだわる。
 自分の居場所に興味を失うと仕事まで面白くなくなる。
 整骨院や鍼灸院は一度作ると外装看板とかはちょくちょく変えるけれど、外装や内装の模様替えをするところは少ない。
 でも、仕事場を毎日見ているうちに自分の仕事をより心地良く続けていくためのイメージが膨らんできた。
 その結果、6年目位からロゴデザインを変え、ベッドとカーテンも取替、11年目に外装も塗り替え。
 但し、来院者にあまり「新しく変わりましたね」と言われるよりも「あまり古く見えないですね」と褒められるほうが好きだ。
 
 今の仕事場には満足しているけれど、未だに完成形にはなってないと思い始めた最近の自分がちょっと嫌になる……。



  

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by tairaacp | 2017-09-06 01:05 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事の作り方 7
 手技は数年おき位に新しい手技を試す時期と手技を固めていく時期を交互にして、手順を見直してきた。
 手技の基本の流れが固まると、基本から外して”引き出し”に入れた手技を整理して、使うタイミングを頭に入れる。
 自分が納得できるかたちになり始めたのは開院して8年目位から。

 鍼の施術はサイズやメーカーを使い分けながら打つことで、微妙な変化に対応していけるようにはなったけれど、相変わらず指の動きは硬いままで、挿管は下手で恰好よく打てない。

 手技を繋げていく作業は、調子のいい時は音楽のセッションでアドリブを組み立てる感覚に近い。
 逆に悪い時は自分の”リズム”をキープして、仕事が粗くならないように気をつけている。
 

 
 

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by tairaacp | 2017-09-01 18:50 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事の作り方 6
 開院を念頭に置き始めて、僕が勤めていた整骨院で始めたことは下記をイメージして繰り返し施術することだった。
 ①30分の基本手技の手順を作る。
 ②自分の基本手技に鍼治療を挟んで経験値を上げる。

 当時の院長は治療現場をスタッフに任せて、自分は事務作業に没頭しているタイプだった。
 おかげで自分の施術スタイルを考える時間があったのは本当に幸運だった。
 整骨院を辞めて開院するまでの間は、往診の仕事を仲の良い患者さんからこっそり頂いたので、覚えかけた”手”を休ませることもなかった。

 結構時間がかかったのは自分に合った鍼と灸の道具選び。
 僕の指は太くてあまり関節が曲がらない。
 ただでさえ鍼の挿管もお灸の手捻りも下手で、患者さんを長時間ほぐしながらでは、指が固まって思うように動かない。
 不器用な分、道具を選ぶ必要性は高くなってしまう。
 自分の手に扱いやすい鍼と燃焼温度が把握しやすい関節灸の中から、製造メーカーの違うものを用途に応じて使い分けていくことにした。







  
 

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by tairaacp | 2017-08-28 22:06 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事の作り方 5
 自分の治療院を開ける可能性が出てきたのは、僕が40歳を過ぎた頃。
 たしかに自分にとってこのタイミングが年齢的にはベストだと思えた。
 多くの治療家は50歳を過ぎると、体力と共に能力は簡単に落ちる。
 リラクゼーションサロンで50歳になっても仕事を続けられる人達は、店を任されるタイプか固定顧客を掴むだけの能力を維持している。

 当時は整骨院での治療補助をこなしていた程度だった。
 30分以上の施術なんて何年もしてなかったし、自分の鍼灸治療の基本的なかたちを見つけられていなかった。
 他の治療院やリラクゼーションサロンで飛び込んで施術を受けては、自分に当てはめては考え込んでいる最中だった。

 結局、見切り発車で行くことにした。
 今の僕なら誰にも勧めない。
 近い将来での開院を決めて、まず最初に各種メーカーの鍼を注文した。





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by tairaacp | 2017-08-26 22:36 | 鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事の作り方 4 
 数か月位経つと
 同級生の整骨院の空気に疲れなくなってきた。
 相変わらず僕が患者さんを触らせてくれそうな空気はなかったが、雑用を手伝いながら、院長の基本手技とオプションで使う手技の組み立て方を観察。
 自分の中で他人の手技を再構成して考えていくことが、この後の自分の手技を構築していくことに役立った。
 この時期から、リラクゼーションサロン店への飛び込みでの施術を頻繁に受けに行き始めた。

 やがて、少しずつ整骨院が忙しいときに施術が手伝えるようになってきた。
 まずは”患者を椅子に座らせての軽い軽擦とほぐし”の繰り返し。
 難易度は低いが、基本的手技として重要だし、これが雑な人は何をやっても雑。
 幸い以前に勤めていたリラクゼーションサロンで、
 以前勤めていた店でひつこいほどクイックマッサージ台での揉み手の手順を教えられたので、それをベースに患者一人一人に合わせて解すラインや手数を変えて、練習出来たのは有難かった。
 でも、相変わらず鍼を打つチャンスはなさそうだった。

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by tairaacp | 2017-08-24 18:00 | 鍼灸師の仕事